生き物にとって水が必要なのは当たり前だが、今、水の確保が問題となっている。カリフォルニア州では現在水不足に悩まされており、貯水を使わずに水を手に入れる方法を考える必要性に迫られている。
USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)が最近発表した報告によると、Desal賞(発展途上国における水の確保にかかわる発明をしたものに贈られる賞)を今回受賞したアイデアは海水から塩分を除き飲料水としての基準を満たす水を得るものだった。
今回賞を受賞し、第一位の140,000ドルを手に入れたグループはMITとJain Irrigation Systemsという団体のグループだった。彼らのアイデアは太陽光のエネルギーをソーラーパネルにチャージし、電気透析という方法を使い、そのエネルギーで塩を水から除くというものだ。また塩水を水に変えるために紫外線を使う方法も組み込んだ。
実は太陽光のエネルギーで脱塩施設を動かすというアイデアは新しいものではない。太陽光を使う脱塩というのは、水の確保が重要な地域、中国やカリフォルニア州、では以前より研究されていた。水を多くの人に供給したいと思いながらも、このアイデアはまだ使用には高価で、かつ複雑な技術を必要とするので、実現性があまりなかった。
都会から離れた地域では、耐久性と、より長く使用できる技術が必要とされる。MITとJain の混合チームとほかの競争相手たちはニューメキシコ州にあるBrackish Groundwater National Desalination Research Facilityで自分たちのプロジェクトのテストを実施した。そこでは、24時間の耐久テスト、2100ガロンの塩を毎日取り除くテストを行った。その次のテストはより厳しい条件下、自分たちのシステムをUSAID指定の地域の農場を用い運営するというものだ。もしすべてが期待通りに動くと、そのシステムは小さい農場なら十分な水を供給できるという結果が得られた。
カリフォルニア州では以前から水不足に悩まされており、日本に比べて水道代が非常に高い。にもかかわらず、カリフォルニアでは芝生を保つために、朝、夕、夜にスプリンクラーを起動したり、一日に何回もシャワーを浴びるのも珍しくなく、水不足に対する危機意識が正直足りないように感じる。日本ではあまり意識しない水不足だが、塩水を生活用水に変える技術が必要になるのは意外とすぐなのかもしれない。
記事元:http://www.businessinsider.com/mit-invention-solar-powered-desalination-2015-4
HackLetterのバイオテックライター/関西の進学校に通い受験勉強に身を捧げる毎日を過ごしていたが、高校在学中にオーストラリアに留学。それをきっかけに世界で挑戦したいという志が芽生える。高校卒業後、渡米。現在はシリコンバレーにある大学で生物学を専攻している。HackLetterではバイオ×テクノロジー分野の記事を日本にお伝えする。