【FinTech】手数料0の証券取引アプリ提供会社が60億の資金調達【2桁調達多数】日本国内資金調達案件7/21-31まとめ

【FinTech】手数料0の証券取引アプリ提供会社が60億の資金調達【2桁調達多数】日本国内資金調達案件7/21-31まとめ

同記事は日本市場で7/21-31に資金調達を実施した日本企業を抜粋、新規性、技術性、収益性、社会貢献性の4視点より、独自の評価基準を元に分析していく。

 

7/23 日本美食 10.1億円 インバウンド
7/24 VALU 4500万円 SNS
7/25 モノオク 数千万 シェアリングエコノミー
          taskey 1.5億円 チャット型小説アプリ
7/27 Preferred Networks 9億円 AI
7/30 Finatext 60億円 FinTech
          JapanTaxi 22億円 シェアリング
7/31 Best Beer Japan 1500万円 食品

 

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日本美食

7/2310.1億(円)

新規性(B) テクノロジー(A) 収益性(B) 社会貢献度(B)

領域:インバウンド

投資家:農林中央金庫(以下農林中金)および複数の個人投資家らを

サービス:インバウンド観光客向けの飲食店サポートサービス

解決する課題:訪日外国人の「検索・予約・決済」の課題 / 店側の「集客・接客」の課題

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/23/japan-foodie-raised-1-b-yen/

概要:「日本美食」が主に提供するサービスは決済機能。QRコードとアプリを媒体にしたサービスで、QRコードを印刷し設置するだけでよく、システム的な初期費用は必要なく飲食店に導入可能である。QRコード決済では、アリペイをはじめとする14種類の決済ブランドに対応。また、その他サービスとして日本の飲食店を紹介するメディアサービス、4言語対応の予約・注文機能、店頭でのスマホ決済機能を備えたアプリを提供する。

評価 :申し込みをして、QRコードを発行して、お店に置くだけ3ステップで、決済ブランド14社で決済が可能になるため、お店にとってはコストがなくインバウンドの決済需要が満たせる。つまり、お店側にとって導入のデメリットは特にない。決済機能を入り口に、飲食店のシェアを獲得してしまえば、その他に多角的なビジネスを展開可能であり、いまだ強力な企業が存在しない「インバウンド領域」で覇権を握りうる可能性がある。同社はすでに、インバウンド向けのHPやSNSマーケティングコンサル、店舗Wi-Fiのコンサル事業を手がけている。

 

 

VALU

7/24, 4500万(非公開)

新規性(A) テクノロジー(B) 収益性(C) 社会貢献度(B)

領域: SNS

投資家:千葉功太郎

サービス:株式に模した、応援型SNS

解決する課題:まだ無名だが頑張っている人を、継続的に支援するサービスがない

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/24/valu-fundraising-45m-yen/

概要:同サービスは各ユーザーが自身のVAを発行し、売り出すことを通じて支援者(VALUER)を集めることのできるプラットフォームだ。個人の発行できる株式のようなイメージだ。VALUを勝った側は、勝った人が設定した何かしらの優待を受けることができる。頑張っていて、今後価値が上がるであろう人に先行投資できるようなアプリだ。現在のユーザー数は約10万人、そのうち約2万人がVAを発行している。また、ただのVALUのやりとりの場を提供しているわけではなく、SNSのようになっているのも特徴だ。CEOの考える、提供するサービスのコアバリューは、ファンクラブ会員権に近いという。タイムラインを通じて、ユーザーに対して独自の情報を公開したり、その中で相互のコミュニケーションを楽しんだりする空間を目指してる。イメージとしてはFacebookとTwitterの中間のようなコミュニティ。VAは日本円でのやりとりではなく、ビットコインを媒介にしている。

評価:リリース当時、ビットコインのバブル現象もあいまって、ホリエモンや、田端氏などのインフルエンサーが相次いで流入し、話題騒然となったため、知っている人も多いのではなかろうか。ビットコインの暴落からあまり話題に上がらなくなったが、現状は、独特な経済圏ができつつある。ただ、株取引のようなサービスの性質上、人が多く参加しないと成り立たない。最近は、ファン型投げ銭コミュニティサービスは多くリリースされ、先週もCHIPなどが話題沸騰である。その数ある競合の中で、ユーザー、特にインフルエンサーが「VALE」を選ぶ理由を新たに作らなければ、一度加熱しただけあって新たにユーザーを獲得するのは難しいように思える。

 

 

モノオク

7/25、数千万(円)

新規性(A) テクノロジー(B) 収益性(C) 社会貢献度(B)

領域:シェアリングエコノミー

投資家:ANRI

サービス:物置き版Airbnb

解決する課題:トランクルームの場合は同じエリアだと1〜1.5万円かかる

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/25/monooq-fundraising/

概要:「モノオク」は、物置版Airbnbサービスだ。つまり、物置のシェアリングサービスで、ユーザーのマッチングのプラットフォームを提供する。「モノオク」に登録することができるのは部屋の一角にある押し入れやクローゼット、使っていない倉庫や空き部屋を始めとした個人が保有しているスペース。ホストと呼ばれる荷物の預かり手となるユーザーは、これらの空きスペースを活用して荷物を預かることで収益をあげることができる。今のところユーザーのニーズとしては「引越し時などに2〜3ヶ月間だけ荷物を預けるパターン」と「倉庫代わりに長期間保管するパターン」の2つ。預かり場所は1000箇所を超えている。「モノオク」は預かり料金の20%が手数料となる。

 

評価 :大手のトランクルーム会社のキュラーズの調べによると、市場は毎年10%の成長をしている。2020年には700億円、2027年には1,000億円市場へと成長する可能性を秘めているという。トランクルーム専用のマンションも建つくらいだ。競合として「minikura」というサービスがある。こちらのサービスは主にダンボールサイズのクラウド倉庫サービスであり、「モノオク」はある程度大きさを担保した空間のマッチングで差別化している。LIFULLの調べよると、トランクルームの主な用途は


1位 家具 (40.8%)2位 書籍や雑誌などの書籍類 (36.3%)

3位 アウトドア・レジャー用品(スキー、スキューバダイビング、キャンプ道具など) (34.8%)

4位 家電 (30.0%)

5位 コート/和服/礼服以外の衣服 (22.7%)

 

となっているため、「家具や家電」など大きなモノの収納は「モノオク」、小物は「minikura」というように2つのサービスはうまく住み分けができている。

 

 

taskey

7/25、1.5億(円)

新規性(A) テクノロジー(B) 収益性(B) 社会貢献度(B)

領域:

投資家:Global Catalyst Partners Japan、グッドスマイルカンパニー、サイバーエージェント・ベンチャーズ、コルク、BASE Partners Fund、三井住友海上キャピタル

サービス:チャット型小説アプリ

解決する課題:本離れが進む若い世代にテキストコンテンツを届ける

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/25/taskey-fund-raising/

概要:「taskey」はチャットを見る感覚で小説が読めるアプリ「peep」を提供している。小説をチャット型にすることで、スマホを使う特に若い世代にとって読みやすい形でコンテンツを提供している。チャット型の小説では、1つ1つのセリフが短いので、機械翻訳でも意味が理解できる程度の翻訳ができる。そのため同社は海外展開も見据えている。

評価 :YoutubeやInstagramなどの動画コンテンツが増え、同時に本離れなどテキストコンテンツは特に若者には届きにくくなっているし、響かない。そのため、テキストコンテンツ提供側にはお金が回らなくなった。そこで、若者にも受け入れられるチャット型インターフェースに工夫することで、若者に受け入れやすい形でテキストを届けるサービスが「チャットフィクション」と呼ばれるジャンルの同サービスだ。「チャットフィクション(CF)」と呼ばれるジャンルは、海外では「Hooked」や「Yarn」といったアプリが人気であり、日本に渡ってきた。日本ではFOWDが運営する「Balloon」、DMM傘下のピックアップが運営する「DMM TELLER」、そしてピクシブの「pixiv chatstory(ピクシブチャットストーリー)」などがある。競合は漫画アプリもある。アメリカでは漫画アプリよりCFの方がダウンロード数も高いが、日本では漫画アプリが強い。売上も漫画アプリで売上の高い、LINE漫画でも5億円。漫画の競合、市場の伸び、売上を考えると、1.5億の投資の回収は簡単ではないように思える。良いライターの囲い込みや、キラーコンテンツの輩出が鍵を握る。

 

 

Preferred Networks

7/27、9億(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:AI

投資家:中外製薬と東京エレクトロン

サービス:深層学習技術、機械学習技術の研究開発

解決する課題:

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/27/pfn-fundraising-900-m-yen/

概要:PFNではこれまで「交通システム」「製造業」「バイオヘルスケア」という3つのドメインを重点事業領域として設定してきた。中外製薬とは医薬品研究の分野において、東京エレクトロンとは半導体製造分野において深層学習技術(ディープラーニング)を用いた共同研究に取り組む。2017年10月にトヨタから約105億円の資金調達を実施した際には話題となったが、それ以前にも日本電信電話(NTT)やファナックから出資を受けているほか、直近では2017年12月に博報堂DYホールディングス、日立製作所、みずほ銀行、三井物産にファナックを加えた5社から20億円を超える資金を集めている。

 

評価 :言わずとも知れた会社。AIにおける分野では国内トップレベルであることは間違いない。よって回収は可能。ユニコーンとなりうるかが注目である。

 

 

Finatext

7/30、60億(円)

新規性(C) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(B)

領域:FinTech

投資家:KDDI、ジャフコ、未来創生ファンド

サービス:金融サービス開発やビッグデータ解析、証券サービス提供

解決する課題:

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/30/finatext-fundraising-6-b-yen/

概要:Finatextは最新のテクノロジーを駆使し、「サービス開発」「ビックデータ解析」「証券サービス」という3つの事業を行なっている。「サービス開発」分野では、株式市場の予想アプリ「あすかぶ!」や仮想通貨を使ったFXの予想アプリ「かるFX」といったコンシューマー向けの投資アプリを提供している。「証券サービス」分野では、委託手数料0円のコミュニティ型株取引アプリ「STREAM」を提供している。近年急速に普及している「SNS を利用した投資情報の収集」という投資スタイルに特化した証券取引アプリだ。取引に特化した情報収集が行やすい。

 

評価 :同社のユニークな部分は、「STREAM」に使用されている、BaaS (バース : Brokerage as a Service)サービスの提供であろう。BaaSとは有価証券の売買執行機能と堅牢な証券システムインフラをパッケージ化した、 スマートプラスのプラットフォームサービスです。つまり、証券サービスに必要なインフラやAPIなどを提供するサービスだ。それによって、証券サービスをつくる上で開発コストが大幅に削減できる。 そのBaaSをその他証券サービスにも提供することで、プラットフォームとして売上を作ることもできる。

「STREAM」はSNSサービス要素が含まれているところが面白い。近年はTwitterでプロから取引の情報を得るという現象がある。そこにニーズがあるのは間違いない。面白いのは、影響力を持つユーザーがその人の発言が株価を左右することがあることだ。未だそこに法律はない、そこのグレーゾーンの規制次第ではどうなるかわからない。

 

 

JapanTaxi

7/30、22億(円)

新規性(C) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:配車アプリ

投資家:NTTドコモ

サービス:タクシー配車アプリ

解決する課題:待ち時間の最小化

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/30/japantaxi-ntt-docomo/

概要:タクシーの配車サービス。既に47都道府県・全国のタクシーの15%をカバーしている。今回の提携によって、提携タクシーでd払いが可能になる。同社は、相乗りサービスも手がけており、安く乗ることも可能になるという。

 

評価 :同社のUBERと異なる点はソフトウェアだけでなく、ハードウェアにもビジネスの範囲を広げている点だ。同社はドライブレコーダーや、独自開発のタクシーメーターや決済機を販売し、ドライブレコーダーは既に1万台以上販売している。それらハードウェアを連携して、クラウドに情報を集めることがのちのち強みになる。マネタイズもマッチング手数料のみではなく、タクシー広告を見越している。すでに、大塚製薬さんと「ポカリタクシー」、サントリーさんと「伊右衛門 おもてなしタクシー」、P&Gさんと「ファブリーズタクシー」などを実験中だ。UVERのようなシェアライドを帰省している間でいかにシェアを稼げるかが勝負である。

 

 

Best Beer Japan

7/31、1500万(円)

新規性(A) テクノロジー(B) 収益性(B) 社会貢献度(A)

領域:FoodTech

投資家:家入一真氏と梶谷亮介氏が6月に設立したベンチャー投資ファンドNOW、谷家衛氏、MTパートナーズ、StartPoint、小川淳氏

サービス:ITでクラフトビールの安価化

解決する課題:クラフトビールは小ロットで製造がコストになる

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/31/best-beer-japan-fundraising/

概要:「Best Beer Japan」は21世紀を代表するビールをつくることを目標に事業を行う。まずは、日本のクラフトビールの流通をよくすることと、20本という小ロットから注文できるオーダーメイドのクラフトビールづくりに取り組む。地ビールやクラフトビールはブームではあるが、現状はビール生産の99%以上の量が大手5社が寡占状態である。クラフトビール業界の課題として「大量生産ができないこと」「送料が高いこと」がある。送料の高さは発注ロットが小さく、1度に送る量が少ないことに起因する。原価の2,3割をしめるクラフトビールの送料をITの力を使って物流を効率よくし安価にすることが目標だ。最初のサービスは樽(ケグ)の回収サービスで、エクセルで手作業で管理しているものの自動化を目指す。また、スマホでビールをオーダーメイドで作れるサービスの提供を予定している。「売れるビール」を知るためのデータを集めたいという。

 

評価 :CEOのRothenberg氏曰く、日本のクラフトビール市場は2010年から2015年の間に売上ベースで10.5%の成長率だ。その後の米国市場の伸びと同じ成長が米国の数年遅れで日本に来ると考えれば、2018年から2022年の5年では19.2%の成長率、売上規模では1000億円を超えるとされている。また、ビール類の酒税が変わることも追い風になる。ビール、発泡酒、第3のビールの3種類にはそれぞれ77円、47円、28円の酒税がかけられているが、2020年から2026年にかけて、段階的にいずれも55円に一本化していくことになっている。これが、味と材料にこだわって発泡酒扱いされてしまうクラフトビールが、消費者に相対的に高いと思われることがなくなるため、創作意欲向上にもつながるという。個人的にクラフトビールがすきな筆者としてはとても応援している。

 

 

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