米国の資金調達ブームの熱が冷え込んでいる一方、日本の調達ブームは止まることを知らない。同記事は日本市場で7/4-10に資金調達を実施した日本企業を抜粋し、新規性、技術性、収益性、社会貢献性の4視点より、独自の評価基準を元に分析していく。

7/4~7/10の資金調達案件 紹介順

7/4 HiCustomer                CRM                        6000万円
       エフ・コード              Web接客ツール     1.4億円
7/5 スタートバーン          ブロックチェーン 1億円
7/6 LIQUID                        生体認証                 33億円
7/9 VISITS Technologies AI                             5億円
7/10 JobRainbow              HR                            5000万円

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HiCustomer

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7/4、6000万円(円)

新規性(A) テクノロジー(B) 収益性(B) 社会貢献度(B)

領域:CRM

投資家:500 Startups Japan、BEENEXT、アーキタイプベンチャーズ

サービス:SaaS型のサービスの顧客を分析し、ファン化やフォローを行う

解決する課題:カスタマーサービスに追われ、本来先回りしてフォローすべき顧客をおろそかにしている状況を改善する。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/04/hicustomer-fund-raising/

 

概要:HiCustomerはサービスの利用状況に応じて顧客をスコアリングするツール。解約兆候を検知し、顧客の意思決定前にフォローアップすることで売上の低下を予防できる。また、ファン層の特定を行い、効率的にアップセルやクロスセルのアプローチをできる。2018年4月にクローズドβ版をリリースして以来、100社以上が利用事前登録を行ったという。

評価 :従来の営業やマーケティングによって物を販売する形態から、サブスクリプションモデルのような月額定額制のサービスが増えて来ている。その流れの中で、顧客の分析管理の重要性は今後一層増してくる。同社はこれをカスタマーサクセスと定義している。顧客の分析ツールはCRM系のツールなどたくさんあるが、CRMは営業・マーケティングの補助に近い。SaaSに特化サービスは珍しい。

 

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エフ・コード

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7/4, 1.4億(円)

新規性(B) テクノロジー(B) 収益性(B) 社会貢献度(B)

領域: Web接客ツール

投資家:複数の個人投資家を引受先とする第三者割当増資

サービス:ウェブ接客のコンバージョン率改善ツール

解決する課題:『入力フォームでの離脱が多い』『そもそも入力フォームが使いにくい』を解決。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/04/f-code-fundraising-and-releases-new-web-marketing-product/

 

 概要:エフ・コードはウェブ接客ツール「CODE Marketing Cloud(以下CODE)」を7月中旬よりリリースする。CVR(コンバージョン率)を平均で134%改善するという。特徴は顧客のCookieデータ(Web観覧履歴)だけでなく外部データ(既存顧客データやGoogle Analytics、他社マーケティングオートメーション(MA)ツール)も組み込める。また、業界別にオファーバナーや接客のテンプレートが用意されているため、導入に工数がかからない。

 

評価:ウェブ接客ツールの競合には、SprocketやKARTEなどがあるが、同社はコンサルティング力による運用サポートで中堅企業への導入において強みを持っているという。すでに黒字であり、調達資金は開発やマーケティングの強化に使われる。現状としてアジアでは、デバイス普及率やローカライズの問題もあって、マーケティングツール導入が欧米より遅れているが、2025年にはツール利用の6割がアジアになる、という予測もある。同社はタイ、インドネシアにも拠点を置き、アジアにもサービスを展開している。企業に寄り添い課題を解決していくコンサルティング力を武器に、導入の課題を解決して行くことでASEAN地域で欧米発のツールと競り合えるかもしれない。

 

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スタートバーン

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7/5、1億(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(C) 社会貢献度(C)

領域:ブロックチェーン アート

投資家:UTEC

サービス:文化・芸術品の管理に特化したアート×ブロックチェーンネットワーク

解決する課題:アートは作者のキャリヤや作品の売買履歴や展示会履歴で価値が出るが、トラッキングが難しい。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/05/startbahn-fundraising/

 

概要:アーティストのキャリアや、その作品がどんな人に買われたか、どんな展覧会に展示されたかによって価値が高まっていく。Startbahn.orgでは作品の来歴がトレースされ、コレクター間で作品が売買されるごとに(n次販売時に)オリジナル作者へ還元金が支払われる仕組みになっている(日米間で特許を取得済み)。しかし、外部のサービスで売買された途端、システムがうまくいかない。そこで還元金や証明書の情報はブロックチェーンに記録し、かつブロックチェーンネットワークを通じて外部サービスとも連携できる仕組みを作れば、サービスをまたいで来歴の管理や還元金の徴収も可能になるとして「Startbahn BCM」を開発した。イメージはBASEに近く、それぞれのユーザーが独自性のある作品サイトを作成でき、裏側では各サイトがStartbahn BCMに紐付く仕組みを目指す。

評価 :ブロックチェーンとアートの相性は真贋鑑定や来歴管理の点で良く、海外ではいくつかのサービスがある。(「Codex」や「Verisart」など)。アート産業の市場は大きく、2500億円前後と言われることもあり、ブロックチェーンの台頭からに欧⽶諸国・都市では、⾼付加価値・成⻑産業として注目をあびているというデータもある。映画やゲームソフトよりも(2000億)市場規模が大きいのは驚きだ。日本では競合は少ない。

 

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LIQUID

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7/6、33億円(円)

新規性(B) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:生体認証

投資家:農林中央金庫、東京海上日動火災保険、森トラスト、大和証券グループ本社、上田八木短資株式会社、SBI AI & Blockchain投資事業有限責任組合、その他国内事業会社

サービス:生体認証システム

解決する課題:講座開設に本人確認に書類のやりとりが必要

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/06/liquid-fund-raising/

 

概要:LIQUIDでは生体情報にフォーカスした画像解析と機械学習を利用した生体認証システムの開発を行なっている。一般小売店舗向けに開発された「LIQUID Regi」は指紋決済ができる。また、指紋と静脈の2要素による生体認証により、ATMでの現金引出しや入金・住所変更等の手続きを高セキュリティが維持された状態で行うことができるものもある。「LIQUID KYC」は犯収法施行規則の改正案に準拠した、オンラインで完結する本人確認サービスで、銀行口座の開設・振込等をオンラインのみで完結できる。

評価 :次世代の社会インフラを支える技術開発をする同社。生体認証システムの開発を手がける他社競合は、指紋情報ををカード登録する「Zwipeha」、静脈認証の「富士通」、顔認証の「広島銀行」、音声認証の「Nuance(米)」「Paidy(ExCo)」、虹彩認証「富士通」がある。精度が高いのは静脈認証と虹彩認証で、改ざんもできない。顔認証は未だ精度は低く、まばたきなどの動きが必要だ。今後主流になって行くのは、スマホなどに使われている、指紋認証であり、同社のシステムは追い風だ。

 

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VISITS Technologies

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7/9、5億円(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(B) 社会貢献度(B)

領域:AI

投資家:CAC CAPITAL、未来創生ファンド、FFGベンチャービジネスパートナーズ、みずほキャピタル

サービス:人の創造性を定量化

解決する課題:AI時代に必要な創造力を定量的に評価する仕組みはない。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/09/visits-technologies-fundraising/

 

概要:VISITS Technologiesのサービスは主に2つで「ideagram」と「VISITS OB」だ。「ideagram」はアイデアの価値を可視化する。「VISITS OB」は「ビジョンに共感し合える人のつながり」を生み出すことを特徴とした採用サービス。

評価 :クリエイティビティという長らくブラックボックスであった領域を解明しようという、非常にチャレンジングなサービスある。

 

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JobRainbow

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7/10、5000万(円)

新規性(A) テクノロジー(B) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:HR

投資家:ジェネシア・ベンチャーズ

サービス:LGBT専用の合同説明会や求人サイト、口コミサイトを提供

解決する課題:求職時に、LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)だと44%、トランスジェンダーの方だと70%の方が困難を感じていると答えている。職場では性差別的言動が存在しており、企業側も、理解がないことで知らず知らずのうちにLGBTの方が離職してしまう。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/07/10/jobrainbow-fund-raising/

 

概要:すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指し、合同説明会のReal JobRainbow、求人サイト「ichoose」、企業口コミサイト「JobRainbow」、研修・コンサルティング事業などを展開している。「服装髪型が自由」「トイレや更衣室に配慮」「福利厚生が同性パートナーにも適応される」など自分にあった求人に応募できるのが同サービスの特徴。同サービスのユーザー数は累計で約35万人、MAU(monthly active user)はおよそ7万5千人にも及ぶという。

評価 :従来注目されていなかった市場であり、市場規模は小さくない。13人に1人(約7.6%)、日本の人口に換算するとおよそ950万人がLGBTに該当する。

 

datavase.io

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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