シリコンバレーは実力主義社会だと思われる方も多いでしょうが、実際はそうではないようです。シリコンバレーの企業やVCは、ある仕事に最も適した実力を持った人物に、仕事を与えたり投資をすると言っています。しかしテクノロジー業界での多様性が失われていることを考えると、実力以外の何らかの要素を考慮して、採用や投資を行っていることがわかります。
では彼らは一体どういった要素を考慮しているのでしょうか?それは経歴です。
ロイターの調査によるとスタートアップの多くは巨大なテクノロジー企業の重役、人脈が豊かな企業、成功しているスタートアップで働いていた人たちによって作られているそうです。また彼らはスタンフォード、ハーバードなどの有名大学卒業者でもあります。
つまり彼らの中では経歴が重視される傾向にあるということです。いくら素晴らしいアイデアが切り札の世界でも、履歴書に書かれれている大学や会社の名前が重要なのです。
実際、某大手IT企業の人事によるとその企業では採用大学リストがあり、そのリストにある大学の卒業生を優先的に採用しているそうです。
そんな経歴重視の雇用システムを改善しようというスタートアップがGradberryです。Gradberryはエンジニアを採用するためのAI(人工知能)を開発しました。Gradberryは仕事を探しているエンジニアが以前に書いたコードを解析し、人材を求める企業とマッチングさせるサービスです。創業者でCEOのIba Masoodさんはこう言います。「人々はそれぞれ違った分野で秀でることができます。あなたの経歴ではなくあなたが何者なのかが重要なのです。」
Gradberryのおかげで、本来表にでて来られなかったであろう人材を発掘することもできたようです。ある20歳のエンジニアは非常に優秀で、特にJavaに優れていました。彼はその地域の中でもかなり優秀な人物でしたが、仕事をしたことがなかったのです。しかしGradberryを通して彼はKamcordというゲーム会社に就職することができました。
Masoodさんは1日に何百枚もの履歴書を見ているうちに、テクノロジー業界のおかしな雇用システムを明らかにし、改善できると思ったそうです。Masoodさん曰く「いい仕事ができるかどうかは、その人のモチベーション次第」なのだそうです。日本の雇用システムもまだまだ経歴、特に学歴に依存しています。本当に実力のある人たちがその実力を活かせる社会を目指す上で、Gradberryの挑戦は一つの参考になるでしょう。
翻訳記事元:http://www.wired.com/2015/05/gradberry-tara-ai/
HackLetterのライター兼エンジニア/大阪大学に在学しトルコ語というまず誰も学ぼうとしない言語を専攻する変人。またメガネ掛け機とよばれるほど、メガネをこよなく愛している。趣味はスタバでコーヒーを飲みながらMacで作業することのため意識が高い学生と勘違いされがちである。現在大阪の某スタートアップでエンジニアとして修行中。人々の生活を楽しくするサービスを作ることを目指し今日もスタバでコーヒーをすする。