「崇城大学の起業部ってなんだか面白そうだよ」熊本出身の知人から尋ねられたことがきっかけでbtraxと崇城大学のコラボを知ることになった。熊本にある崇城大学では起業家教育に注力しており、日本初となる大学公認の起業部を作り学生起業家輩出も視野に入れている。今年はサンフランシスコにあるクリエイティブ・エージェンシーのbtrax内に崇城大学オフィスを構える。
「btrax」について…
btrax: http://btrax.com/jp/
公式ブログ freshtrax: http://blog.btrax.com/jp
企業のグローバル展開のためのブランディング、マーケティング、リサーチ、サービスデザイン、イノベーショ創出サービスを提供するコンサルティング会社。主要クライアントはCanon、RECRUIT、楽天など。
btraxは2015年10月1日にオフィス内にD.Hausというコミュニティーワークスペースを開設した。
D.Haus : http://dhaus.co/
この一角に崇城大学のオフィスを開設し、熊本から学生を送り込むという話だ。
今回btrax CEO&FounderのBrandonさんにインタビューする機会を得た。このコラボの経緯、プログラムの目的、そしてこれからの学生に期待することは何か。Brandonさん自身の経歴や体験を交えながら真剣に語ってくださった。
インタビューのポイントは以下の3つになる。
1.なぜ崇城大学とのコラボなのか?
2.btraxはどのように関わっていくのか
3.参加する大学生・若い世代に望むこと
1.なぜ崇城大学とのコラボなのか?
“崇城大はとにかくスピードが速い。ピッチのレベルも高い。”
Q.ではまずこのプログラム始動に至った経緯をお願いします。
崇城大の起業家プログラム担当者、熊野さんの教え子がbtraxのスタッフだったんです。熊野さんが以前、企業家プログラムの視察のためにサンフランシスコを訪れていた際にお会いしました。その後btraxがD.Hausを開設することを熊野さんにお知らせたしたところ「ひと枠設けたい」というお話を頂きました。btraxとしても大学とコラボをするのはいいなと思いました。
かねてより他の大学からも起業家プログラムやグローバル人材育成を一緒にやりたいというお話を頂いていましたが、崇城大学がいち早く決めたという感じですね。起業家プログラム担当の熊野さんですが、学長直下での活動をされていて迅速な意思決定のパスを持たれているようです。崇城大は非常にユニークな取り組みを積極的に行っていたり、学長も自ら新しいこと取り入れたり、いい意味でしがらみがないのだと思います。
他の大学では担当者がやる気があったとしても、大学側はできない理由を並べて新しい取り組みを煙たがるみたいです。どの大学も表面的には「グローバル化」「起業家」などと言っていますが実際はできていないことが多いですね。その点崇城大学は、話が出て決まるまでのスピードがすごく速かったです。
Q.崇城大の起業部の活動は実際に見られましたか?
はい。起業部のピッチを聞きに行ったのですがあまりのレベルの高さにびっくりしました。正直あまり期待せずにいったのですが…(笑) 大学側からは辛口コメントをお願いします!と言われていましたが本当に良かったので賞賛しました。
崇城大起業部:http://www.sojo-v.com/
起業を学んでいる学生に多く見受けられる傾向として、一番ありがちなのは「起業ごっこ」をしている学生が多いということです。起業するために無理やりテーマを決めて、実用的でないものを紹介するピッチをよく見かけますね。その点、崇城大学はやりたいことがしっかりあって、そのために起業を目指すという、本来あるべき起業家の姿でした。
2.btraxはどのように関わっていくのか
“D.Hausに入居している企業とのコラボ – btraxの強み”
Q.btraxオフィスに来る大学生はどのように決められるのですか?
こちらのオフィスに誰が来るかは、崇城大学の判断によって決まります。今は契約を結んだばかりなので具体的に何をするかは固まっていませんが、こちらとしては臨機応変に対応していきます。
Q.崇城大学側が選んだ生徒に対してbtraxはどのように関わるのですか?
いろいろ体験してほしいことはあるのですが、btraxで主催している短期のイノベーションプログラムを経験するのが一番いいと思います。そこで「デザイン思考」「リーンスタートアップの手法」「人とどのようにネットワークを作るか」を説明したり、こちらのスタートアップと共にプロジェクトを進めたり、ハッカソンをやってみたり…
D.Hausに入居している企業とのコラボもできたら面白いですね。D.Hausは大企業、ベンチャー企業、大学、自治体が結集しているので、大学生でありながらいろんなコラボレーションに関われたらとてもいい経験になるのではないかと思います。
3.参加する大学生・若い世代へ望むこと
“地方にいるとそこまで頑張らなくとも安定した生活ができるが、サンフランシスコは中途半端なことをやっていると生きていけない”
Q.このプログラムの目的としては起業部が考えているビジネスをここで実践するために学生を招くのですか?
そこまで壮大な目的を設定しているわけではありません。まずはスタートアップの聖地であるサンフランシスコエリアの空気を知り、視野を広げてもらいたいです。
崇城大生のピッチを聞いた時、ほとんどの学生が「資金調達は国内の投資やクラウドファンディングを利用します。」と言っていてなぜそこまで国内にこだわるのかなと思いました。集まるお金の額が全く違うので、アメリカでの投資も見てほしいですね。海外でも売っていけるものであれば、こちらの投資を利用した方がいいのに。海外プラットホームを知るというだけでも視野が広がるのではないかと思います。
Q.ということは、このプログラムの狙いは大学生の視野を広げ、厳しい環境を体験してもらうということですか?
そうですね。現実的に言って大学生が起業してビジネスを実際に展開していくのってすごく難しいんですよ。こっちにきたことによって刺激をうけて実際にビジネスをやったという経験を感じてほしい。それが成功しなくても、うまくいかないという経験を積むだけで相当な進歩だと思うんです。
実はサンフランシスコと比べて熊本などの地方の方にも起業をするメリットはあります。コストや人件費も安く人材も集めやすい。 またライバルがいないので起業してうまくいく確率は高い。しかし起業しなくてもある程度の水準の生活ができるのであまりみんな起業したがらない。
サンフランシスコは中途半端なことやっていると負けちゃうので自然と戦闘能力がつきます。この街は毎日みんなが必死で競い合っているから、世界トップレベルの会社ができてくるんです。刺激的な街サンフランシスコを経験した学生が、日本へ戻り地方で起業すると最強だとおもうのでそうなることを期待します。
Q.大学生より若い世代の起業家育成についてはどのようにお考えでしょうか。
僕は沖縄で開催されている大学生向けの起業家プログラムを3年前から手伝っていますが、最近高校生の参加者が増えています。彼らはプログラムを通して十分伸びているので、高校生もどんどんチャレンジしていってほしいと思います。ただ中学生が別の起業家プログラムに参加していた時に怯えていたので...経験を積んだ高校生くらいから海外で学ぶ機会があればベストなのではないでしょうか。
僕自身、大学からアメリカなのですが、日本での高校生活はいらなかったと思っています。アメリカは高校からプレゼンテーションやディスカッションなどクリエイティブなものを重要視していますが、日本の高校は受験勉強にどっぷりつかってしまう。その結果、日本人は答えのあるものを追及するのは得意かもしれませんが、答えのないものを作り出すのは苦手なのです。やはり、高校生くらいからこちらにきて刺激をもらうのはすごくいいアイディアだと思います。
まとめ
いかがでしたか?
グローバル化の実現において大事なことは、崇城大学のようなスピードの速さなのだと改めて感じることが出来ました。「まずは素早く実行を決断し、詳細は随時適応させていく」というところがなんともシリコンバレーらしいなと思いました。
若いうちから世界トップレベルの環境に身をおいてビジネスや起業について学べるのであれば、どんどんチャレンジするべきですね。崇城大学生はその機会に恵まれているということでとても羨ましいです。
次回は崇城大学側のインタビューを載せようと思います!