<Part 1. モバイル・アクション社誕生の経緯>
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モバイル・アクションではどの様なビジネスを行っているのですか。
私たちは、モバイル・アプリが確実にターゲット層にリーチし、ダウンロードされるために必要なノウハウを無料で提供しています。
モバイル市場では、日々5000のペースで新しい製品が開発され続け、現在全世界で約140万ものモバイル・アプリが存在しています。その様な変化や競争の激しい市場の中で、私たちはモバイル市場のプロとして各モバイル・アプリのユーザー獲得状況やアプリ・ストア上のランキングを分析するソフトウェアを開発し、良質なアプリが埋もれずに適切なユーザーを獲得するためのコンサルティングを行っています。
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なぜモバイル・アプリを扱うソフトウェアを開発しようと考えたのですか。
「アクシデントだった」と表現すれば良いのでしょうか。元々は、起業仕立ての小さな企業の売上を伸ばすコンサルティングを行っていました。そして18ヶ月前、eBayから「eBayで働かないか?ユーザー獲得数を伸ばす戦略を考えて欲しい」という依頼を受けたのです。
この時、「これはビジネスチャンスだ!」と感じました。
eBayは社員約1000人規模に成長し、うち40人程がマーケティング部門に配属されています。知名度の高いスタートアップであっても、ユーザー獲得に苦戦しているのであれば、他のどの企業も同様の課題を抱えているはずでしょう。アプリ開発はまるでゴールドラッシュの様です。皆自分たちの製品が一番当たると思い、モバイル市場で挑戦しますが実際に成功するアプリは極わずかです。
“It’s just like the gold rush. Everybody wants gold, but only small people can make it.”
それならば、eBayに所属し、eBayのためだけに働くのではなく、新しい会社を立ち上げて、同じ様にユーザー獲得数の問題を抱える1000の会社の問題を解決したいと考えました。そして、自分はもうその様な会社をすでに経営していると答えてしまったのです。
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もちろん、まだ会社はまだ存在いなかったのですよね。
はい。会社の名前を聞かれた時に、頭の中にふと浮かんだ名前が、Mobile Actionだったのです。その後すぐに同僚に電話をして、「eBayと取引が成立した、会社を作るぞ。」と伝えました。
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トルコ出身ということですが、以前からアメリカで起業することに関心を抱いていたのですか。
私は2011年にトルコのビルケント大学政治学科を卒業し、2日後にシリコンバレーに来ました。大学1年生の時に、初めてサンフランシスコに旅行来て、クレイジーで面白いことをしている起業家に触発され、「自分は卒業したらここに住んで働くのだ」と憧れを抱いたのです。トルコに帰国後、いわゆるトルコ版のEvernoteを起業しました。ノートの種類・内容が似ている人が簡単に繋がることのできるソーシャルネットワークサービスMarrowsです。
トルコでなければ成功したかもしれないと思うことがあります。トルコ人は、日本人やアメリカ人の様に、ノート取らないのです。勤勉なアジアに進出したEvernoteはとても賢いと感心しつつ、キャンパスの前を通り過ぎると悔しいですね。まだ二十歳の私はビジネスのことが分からず、上手く行かなかったのですが、当時プラットフォームを作ることの難しさを学べたことは、とても大きかったです。
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その後、なぜモバイル市場に関心を持ったのですか。
2008年にスティーブ・ジョブズがiPhone 3Gを発表したことがきっかけで、モバイルに興味を持つ様になりました。モバイル市場に対する理解を深めるために、まずは自分自身でアプリを作ってみました。
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アプリ開発を通じて、どのような気づきがありましたか。
アプリを開発してから軌道に乗せるまでの間で、技術的なことに費やす時間は実はたったの20%程度だということです。残りの80%は市場を理解することに割くべきです。というのも、アプリの成功には①ユーザー獲得、②ユーザーの維持、③ユーザーエンゲイジメント(ユーザーが他友人に紹介するなどの関わり方)④収益化の4つの重要なポイントがあります。中でも、ユーザー獲得が最も重要かつ難しいステップです。
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新しいアプリがユーザーを獲得するためには、どの様なことに注目すれば良いのでしょうか。
ユーザー獲得数を伸ばすにはアプリ・ストアのトップチャートと、キーワード検索結果の2つが鍵となります。例えば、日本市場におけるLINEアプリのランキングは、ソーシャルネットワークというカテゴリーで首位、アプリ全体で2位を維持しているため、毎日ユーザーを獲得することができます。一方で小さな会社は、アプリ開発や技術面にお金をかけているため、マーケティングに費用を回す余裕がありません。
しかし、問題は資金力ではなく、モバイル市場やアップル・ストアがどのように機能しているのか知らないことにあります。そこで、モバイル・アクションが登場するのです。私たちは、毎日世界中の全140万アプリの動向を全て追い続け、分析しているプロ集団です。そして、6ヶ月前に80万ドルの投資を受け、この6ヶ月で最も伸びている企業トップ10に入るなど、実績を伸ばしています。
<Part 2. 昨年6月に起業してからの、半年間について。>
レポーター/慶応義塾大学法学部政治学科3年生でUCバークレー校に現在留学中。米国ロサンゼルスに生まれ。中高生時代に校内外の海外派遣事業でアジアを中心に計7カ国を訪問。また、全日本高校模擬国連大会への出場する中で、国際政治に関心を抱く。慶應義塾大学に入学。細谷雄一ゼミで西洋外交史を学ぶ。そのほか、米スタンフォード大学への短期留学や日露学生フォーラム、米ハーバード大学主催アジア国際学生会議に参加し、2014年には同会議の誘致に成功、企画部門代表を勤める。それらの経験より、日本を世界に世界の出来事を日本に発信する国際ジャーナリストを目指す。UCバークレーでは、学生新聞社The Daily Californianのマルチメディア部門でビデオプロデューサーとして入社し、春からエディターに就任。その他、2012年度ミス慶応コンテスト準グランプリ受賞。