メルカリが50億円の調達した以降、日本のスタートアップによる目立った調達は見られていなかったが、今回大きな資金調達が2件行われた。

同記事は日本市場で6/21-29に資金調達を実施した日本企業を抜粋、新規性、技術性、収益性、社会貢献性の4視点より、独自の評価基準を元に分析していく。

 

6/21~6/29の資金調達案件 紹介順

6/21 ウミトロン      IOT  9.2億円
6/22 ジオロジック AdTech  1億円
6/25 パネイル         AI EnergyTech  19億円
6/26 SOELU           オンライン教室  8000万円
6/27 THEO              AI FinTech  59億円
6/29 ブイキューブ ロボティクス ドローン 12億円
    ABEJA            AI 42.5億円

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ウミトロン

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6/219.2億(円)

新規性(B) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:IOT

投資家:産業革新機構、D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏ら個人投資家

サービス:IoTでエサやりを最適化

解決する課題:水産養殖で事業コストの半分以上を占めていた給餌を効率化する。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/21/umitron-fundraising/

 

概要:ウミトロンが展開しているサービスは、IOTでえさやりを最適化する「UmiGarden(ウミガーデン)」。ウミガーデンを設置すると、飼育状況が自動でモニタリング・記録され、得られた魚群データを解析すればエサやりの最適なタイミングや量が把握できる。また、スマホを通じて遠隔からエサやりをコントロールできる。

評価 :IoT関連で難しいのが、技術と科学的な効果の証明だ。同社のメンバーは、JAXAにて人工衛星の研究開発に従事した後、三井物産で農業ベンチャーへの新規事業投資や事業開発支援に携わった藤原謙氏、そして、大学在学中に超小型衛星開発に携わり、三井物産やメタップスで働いていた山田雅彦氏、さらにグリーやメタップスでエンジニアとして活躍していた岡本拓磨氏の3人だ。市場では餌代が高騰し続け(10年で3倍)、大変なコストになっている。原油の高騰と中国の台頭が背景にあるため、当分この傾向は続くと思われる。よって、この技術の発表は、タイミングとして最高だ。また、管理操作がスマホベースであることや、人工衛星をデータ収集に使っているため、漁業の領域に踏み出せるノウハウが溜まっていくのも魅力的だ。

 

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ジオロジック

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6/221億円(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:広告

投資家:Genesia Ventures、LINE子会社のLINE Venturesが運用するファンド、東急エージェンシーの各社・ファンド

サービス:位置情報データをもとにした広告配信サービス

解決する課題:広告に地理情報を持たせ、ターゲティング確度をあげる。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/22/geologic-fundraising-100-m-yen/

 

概要:ジオロジックが提供するアドネットワーク「GeoLogic Ad(ジオロジック・アド)」は、スマートフォンユーザーのライフスタイルを解析することで、ライフスタイルや興味などを推定して広告を配信するサービスだ。ある地点を過去に訪問したユーザーを対象に広告を配信できるほか、大学、ショッピングセンター、工場などの施設の訪問者や、鉄道路線の利用者などにターゲットを絞った配信ができる。GeoLogic Adは現在、広告主数300社を超え、同社の主力サービスとして成長、さらに位置情報広告事業の伸びにより、同社は既に黒字化している。ジオロジックではアドネットワークのほかに、マーケティングのための独自の地理情報データベース「GeoGenome(ジオゲノム)」を保有している。GeoGenomeは国勢調査などのデータをもとに、どの住所にどのような人がすんでいるか、町丁目単位で地域傾向を分類。住所に対して「超高級住宅地のエグゼクティブ」「子育てマイホーム」「超高齢化が進む農村」など36の地域クラスターが割り当てられている。HPによると、大学の偏差値ランク、鉄道路線といった日本特有の地点情報を簡単に指定してターゲットに狙いを定めた配信ができる。

評価 :アドテクノロジーの進化は漸近しているという。広告の主流はマス向けに打つ広告から移り変わり、WEB上でのターゲティング広告へと変化している。企業は無料のサービスを提供する代わりに、ターゲティングに利用できる顧客情報をもらい、広告でマネタイズする仕組みだ。アメリカの大統領選挙にみられたように、Facebookを利用した個人のターゲティング広告の威力はすでに証明されている。今後も個人を細かく分類できるデータというのは貴重となって行く。しかし、FBやInstagramやGoogleなどは所詮ネット上の動きでしかなく、これからはリアル上の行動データをいかにとるかが大事になってくる。そこで、同社のような地理と行動とを結びつけた広告配信システムは次世代の広告だと言える。地理情報×広告の領域は、6/20に資金調達した「クロスロケーションズ」があるが、次世代の広告領域として市場が大きく問題はない。

 

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パネイル

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6/2519億円(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(B) 社会貢献度(A)

領域:AI EnergyTech

投資家:Ad Hack Ventures,インキュベイトファンド,SMBCベンチャーキャピタル,NCBキャピタル,七十七キャピタル,千葉功太郎氏,DG Daiwa Ventures,山口キャピタル,横浜キャピタル,りそなキャピタル,YJキャピタル

サービス:電力小売事業者向けの基幹システム

解決する課題:安価な基幹システムを提供することで導入コストを下げ、参入障壁をなくす。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/25/panair-fundrasing/

 

概要:2016年4月に実施された電力小売全面自由化によって急増した電力小売業者。同社は、その電力小売業者向けに基幹システムを提供する。顧客管理や需給管理など、電力小売事業に関わる一連の業務を人工知能などで簡略化する。

評価 :電力自由化の開始以降、小売電気事業者の数は増え続けており、2017年2月28日時点では300社を超えている。同社は、基幹システムをブーストするべく、信頼度を確保するため、手始めに全国7ヶ所にある電力子会社を作り、運用実績を作った。誰も自動化してこなかった領域で、実績を示せたことや信頼と資金を確保できたことは大きく、今後爆発的に導入は増えるであろう。

 

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SOELU

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6/268000万円(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(B)

領域:オンライン教室

投資家:KLab Venture Partners,iSGSインベストメントワークス,ANRI,THIRDPARTY,赤坂優氏,takejune氏,大湯俊介氏,花房弘也氏,安田直矢氏,水谷寿美氏,飯田くにこ氏

サービス:オンラインのライブヨガ教室

解決する課題:家事、育児で時間がなくても、美容や健康にも気を配りたいが、動画ではモチベーションが保てないという層向けに、フィードバックがもらえるサービスを提供。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/26/wakutech-fundraising/

 

概要:ビデオチャットシステムのZoomを使ってリアルタイムに実施。インストラクターが画面越しに受講者の様子を見てフィードバックを行えるため、オンラインではあるものの孤独を感じづらく、臨場感も味わえる。同サービスは、女性限定で、スマホを利用してフィットネスできる。月の料金は8回分で3980円だ。1日2回の上限で受け補題で月8000円のプランもある。

評価:コストが低く抑えられるのはかなり魅力的。通常、ヨガ教室は月4回で10000万円程度であるであるため、同サービスを使えばコストは1/4以下に抑えられる。面白いのはマタニティや育児の女性をターゲットにしているところだ。彼女らには、明確に使う理由がある。ヨガ教室を持つ必要がない分、会社側にコストもかからない。現状、満足度は60%程度である点がやや心配だが、バケツの穴を塞いでしまえば良い。一度ユーザーが増えれば、地理的な制限もないため、収益をあげやすいサイクルに転じるのではないだろうか。

 

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THEO

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6/2759億円(円)

新規性(A) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(B)

領域:AI 投資

投資家:東海東京フィナンシャル・ホールディングスを引受先とする50億円の第三者割当増資と、三井住友銀行、りそな銀行からの融資

サービス:AIを活用した個人向け資産運用サービス

解決する課題:ロボットにより、世界への分散投資の手間やコストを抑える。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/27/theo-fundraising-5-9-b-yen/

 

概要:「お金のデザイン」が提供する「THEO」はAIを活用した個人向け資産運用サービスだ。月々1万円という少額から始められ、運用報酬は1%(年率・税抜)。20代・30代を中心に利用が広がり、5月末現在で運用者は4万3000人。特徴は背か分散投資で、THEO[テオ] のポートフォリオは、およそ40種類のETF。本来1.4%の手数料を1%で手間なく運用できるという。

評価 :過去9年のシミュレーションによる年あたり平均リターンは5.0%という。そして、ロボットであるためコストも安い。また分散投資のため、低リスクという優れものである。競合はウェルスナビで、ポートフォリオや顧客で住み分けができている。THEOは運用知識がない人も顧客になりうる。

 

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ブイキューブロボティクス

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6/2912億円(円)

新規性(B) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:ドローン

投資家:Eight Roads Ventures Japan、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、Drone Fund

サービス:ドローンによる、設備点検や災害対策、警備・監視サービス

解決する課題:人が作業しにくい場所でも、現場に人が近づかずとも状況判断や意思決定を行える。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/29/vc-robotics-fundraising/

 

概要:同社は、ドローンで撮影している映像を、遠隔かつ複数の拠点でリアルタイムに共有する「リアルタイム映像コミュニケーションサービス」や、機体や搭載するカメラ、定期メンテナンス、部品交換、ドローン保険など“ドローンを業務に活用する場合に必要となるもの”をパッケージ化したサービスを提供している。また、ドローンを用いて太陽光発電施設の点検に関する一連の業務を自動化する「SOLAR CHECK」なども提供している。

評価 :ドローンは未だ法整備が整っていないが、さまざまな利用シーンがあり、インフラもその1つだ。インフラ分野での市場規模は国内でも17兆円という試算もある。ドローンは、高性能な目と三次元的な移動スキルをもち、通常人が行う点検をかなりの低コストと正確性で実現できる。特にインフラ点検分野は、山梨県大月市笹子町の中央自動車道上り線笹子トンネルで天井板落下事故から、5年に一度の点検が必要になった一方で、点検業者の人員が少なく、9割以上の仕事を断っている状態であり、同サービスにとってこの状況は追い風となっている。

 

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ABEJA

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6/29、42.5億(円)

新規性(B) テクノロジー(A) 収益性(A) 社会貢献度(A)

領域:AI

投資家:PNB-INSPiRE Ethical Fund 1投資事業有限責任組合(既存投資家),NVIDIA Corporation(既存投資家),産業革新機構(既存投資家),SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合,ダイキン工業,TBSイノベーション・パートナーズ2号投資事業組合,トプコン,日本郵政キャピタル,武蔵精密工業株式会社

サービス:AI運用システムサービスの提供

解決する課題:AIの実運用化への人手や時間、コスト、データ、社内プロセスなどのを最適化する。

参考:https://jp.techcrunch.com/2018/06/29/abeja-fundraising/

 

概要:ABEJA PlatformではAIのビジネス活用で必要となる「取得」「蓄積」「学習」「デプロイ」「推論・再学習」という5つのプロセスにおいて、インフラや周辺システム等を利用できる環境を整備する。AIの実装および運用において大幅な省力化・自動化を見込める。その中の1つのサービスの特化型SaaS「ABEJA Insight」は、入店から購買までの行動データを可視化して、ダッシュボード管理で簡単に分析に繋げられる。現在は小売・流通業界、製造業界、インフラ業界を対象とした3サービスを手がけている。

評価 :企業がAIを実装するためには、「取得」「蓄積」「学習」「デプロイ」「推論/再学習」の5つのプロセスまでの一連を一つ一つこなしていくことが必要があるが、同社はそのプロセスを一気通貫で提供できる。特にその他競合と異なる点は「推論/再学習」ができる点だという。現状のAIのボトルネックは、デプロイより先のプロセスである「再学習」にもっとも集中していて、その再構築にコストがかかっているという。その理由は教師データの作成作業の「アノテーション」にあり、そこにこだわり、高い精度でスピーディに実行できるAIパイプライン技術は随一という。

 

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