11/4 11/5と2日間サンフランシスコにて 『THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2016 SAN FRANCISCO』が開催されました。1日目は”Blockchain” 2日目は”Biotech”をテーマに第一線で活躍されている専門家の方々が講演・パネルディスカッションを行います。
“Collaboration With Microbes (微生物との共存)”というテーマで行われた2日目のトークの中で興味深かったスピーチをまとめさせていただきます。
スピーカーはWen Wangさん。MITのmedia LabのリサーチサイエンティストかつMITのChemical Engineering部門で”Bio-fabrication・Bio-manufacturing(バイオ生成)という分野の研究を続けられています。
モンゴルで生まれ育ったWangさんは、大自然と触れる中で松ぼっくりが湿度によって形を変える様子に興味を持ったことがキッカケで、バイオサイエンティストの道を志すようになります。
研究を続けていく中で、実際の自然物質から人間に直接的に役立つ製品の開発を考えていたWnagさんは納豆に含まれるバクテリアが非常に素晴らしい物質ということを発見されます。
実際に異なる湿度で実験を行った結果、納豆に含まれるバクテリアは①成長スピードが早く、且つ②湿度の変化によって膨張収縮をおこなう物質だということが発見されました。
この物質は湿度によって形を変えるため、下記のような形を変えるTバックであったり、湿度によって形や色が変化するお花の飾り、ライトのカバーになったりもします。
これらは全てバクテリアの反応で起こっているのだというのだから驚きです。
その中でもWangさんは洋服に着目します。①バクテリアの成長スピードと②伸縮性の観点から、有効性を見出したのです。
過程としては、納豆バクテリアを抽出し、それを基に繊維を作ります。プリンターを使って洋服に刷り込ませることによって、その洋服はまさに”生きている服”として生まれ変わることになります。
背中にプリントされた“納豆菌”繊維は、人間のかいた汗などの湿度に反応し反応します。
湿度が高い時には背中部分が開くようになりエアコンのように湿度・温度調節をしてくれます。将来的には湿度によって光るような繊維の開発にも取り組んでいるようです。
人間は1人ではない。体の中にも、そして体の外にもバクテリアは存在しており、将来的にはもっと身近に人間がバクテリアと共存できる世界がくるのではとおっしゃっておりました。
それだけではなく、背中のバクテリアが二酸化炭素やその他の公害物質を取り込み環境にも優しい製品に慣れるのではとも考えられているそうです。
会場でも実際に納豆バクテリアを使った繊維でできた洋服が紹介されており、非常に注目を集めておりました。
現在未だ発売はされておらず、来年3月にはパリで展示会に出店されるそうです。
実際にこの研究はMITだけでなくニューバランス社も関わっており、スポーツウエアを始めとした様々なアパレル産業にも必然的に絡んでくる未来が見えてきています。
講演後質問をしてみると、価格面・技術面などまだ解決しなければならない問題は有るものの様々な問題をバクテリアが解決してくれる、そしてもっとバイオが日常生活で当たり前のように使われている世界を待ち望んでいると仰っていました
人間と洋服、それぞれがバクテリアで出来ている”物体”であり、 共生することによって今まで以上に便利で、そして地球にも優しい未来が近いのではと思えるスピーチでした。
<参考資料>
dg717.com
http://www.wenwang-biofabrication.com/about.html
https://www.youtube.com/watch?v=yVLOA-tbok0
http://www.popsci.com/web-ware
慶応大学を休学し、シリコンバレーに一年間留学中。
起業家へのインタビュー、大手米国企業のリサーチを精力的に行う。