世間で何かと騒がれる「ビッグデータ」や「データマイニング」。でも、日常生活でどうやって使われているのか、どんな成功例があるのかよく知らない人も多いはず。
統計を学ぶ学生も、ただ数式を扱う座学の授業では、統計でどんなことができるのかいまいちピンときませんよね。そんな学生の為に授業で紹介された、世界中のプレゼンターが集まる「TED」のビデオの中から厳選した5本のビデオを集めました。
統計を学ぶ学生も、そうでない学生も、はたまた「ビッグデータ」に興味はあっても何から学べばいいかわからない学生も、ぜひこのTEDのビデオを閲覧してはいかがでしょうか。
1. 私がオンラインデートを攻略した方法 Any Webb (17分27秒)
今やアメリカ人にとって二番目に多い出会いの手段と言われるオンラインデート。彼女は自分に合う様々な条件をクリアした理想の男性は自分の住む州には36人しかいないことを統計的に導き出し、オンラインデートを始めることを決断。その後彼女の編み出した独自の男性採点シートや、相関関係によって導かれたデートで下品な話をする男のある特徴、そして「市場調査」と銘打ってオンラインデート上のデータを分析して作った必勝プロフィール…といった数々の笑えるエピソードが繰り広げられます。
統計に興味のない人もとっつきやすい話題で楽しめるはず。
2. 最高の統計を披露 Hans Rosling (19分50秒)
私たちがもつ「発展途上国=短命で大家族」といった先入観が間違っていることを統計的にデータで証明します。そしてデータに基づいた支援の必要性、データを正しく読みとり正しく理解することの必要性を訴えます。
見どころはなんといってもデータをアニメーションの形で示している点でしょう。時の流れとともにデータの変化をわかりやすく示し、個人ごとのGDP、人口、子供の生存率などあらゆる対称軸があっても混乱することがありません。
数値を扱うことに苦手意識がある学生におすすめの一本です。
3. 五百万冊の本から学んだこと Jean-Baptiste Michel, Erez Lieberman Aiden(14分8秒)
Googleが本をデジタル化して読み取る技術を開発したおかげで、印刷機が発明された数世紀前からの本のデータを自由に検索できるようになりました。そこでこの研究チームは一つの単語がどれくらいの頻度で使用されているかを年代別に見ることのできる「Ngram Viewer」を開発しました。すると、ある単語がある一つの言語である特定の期間だけほとんど使用されていないことがわかったのです。そのことから導き出される事実とは…?
膨大なデータから傾向を読み取り、その要因となる歴史的背景を紐解く様はまさにデータマイニングの手法です。驚くことに私たちも「Ngram Viewer」を使用できるそう。この動画でデータマイニングをより身近に感じられるのでは?
4. データビジュアライゼーションの美 David McCandless (17分56秒)
元ジャーナリストのデビッドが情報を可視化することの大切さを伝える講演。人々はニュースで軍事費○○億ドル、と数字で伝えられてもいまいちピンと来ない。だからこそ他の予算にはどれほど使っているのか、というような「相対化するためのデータ」が必要で、それらのデータを、カラフルな図を使って視覚的にわかりやすく伝えることが重要だ、とデビッドは語ります。
「情報をわかりやすく伝えるプロフェッショナル」であるジャーナリストならではの視点でデータマイニングによって明らかになる新事実が次々と紹介されます。社会問題・時事問題に興味のある学生にはおすすめの一本です。
5. 人種は投票に影響を及ぼすか? Nate Silver (9分16秒)
アメリカ史上初の黒人大統領となったオバマの選挙結果に基づいて、「人種」は投票を考慮する要因の一つとなったのかどうかを統計的に提示します。最終的には「教育」と「近隣」という二つの要因が人種差別につながっている、という仮説を統計データから導き出し、その仮説を解消するために「街づくりの改革」という新たな政策の提案まで飛び出します。
統計データによって裏付けられた政策は説得力があり、かなり独創的なアイデアでも納得させられてしまいます。
いかがでしたか?どれも20分程度ある長めの動画になっていますが、TEDプレゼンターの話術に引き込まれてあっという間に感じますよ。まずはお気に入りの1本を見つけてみてください