メルカリに学ぶ「イケてる企業のつくりかた」

メルカリに学ぶ「イケてる企業のつくりかた」

今月14日、ある国内企業が東京証券取引所マザーズへ新規上場するというニュースを発表した。普段は上場の知らせにさほど敏感でなくても、この会社の上場のニュースには目を引かれたという方も多いのではないだろうか。

 

その企業とはずばり、日本のオンラインフリーマーケット業界で無双を続ける、株式会社メルカリ(以下:メルカリ)である。

 

メルカリの出現以前には、ヤフーオークションと楽天オークションが日本のオンラインオークション業界を牽引していた。同社は、この大手2社を疾風の如く押しのけ、オンラインフリーマーケットという新たな「文化」を定着させた。もはや、メルカリ自体が文化といっても過言ではないのかもしれない。

 

イケてる企業、メルカリ。今回は、この「メルカリ旋風」の鍵を探るべく、同社が開催するミートアップ「Google I/O 2018 わいわい報告会レポ」に参加してきた。


「ミートアップ」って?

まず、このミートアップという言葉。

ミートアップとは、英語のmeet up(会う)という動詞が名詞化されたものであるが、メルカリはこの「ミートアップ」を毎日のように開催している。規模は20人程のものから、130人というパーティーのようなものまでバラバラであり、参加を希望する人は、イベントページにあるフォームから応募し、抽選に当選すれば参加することができる。

参考リンク:https://mercari.connpass.com/

さて、先にも述べた通り、今回私が参加した「Google I/O 2018 わいわい報告会レポ」の感想を一言で言うとこうなるだろう。

 

「みんながメルカリのファンになる要素が凝縮されている!」

 

メルカリの魔法

惜しみなくリソースを公開

メルカリのミートアップでは、同社社員を中心として、多種多様な分野のイケている人々が、自分たちの専門分野についての情報を惜しみなく発信している。

 

バラエティに富んだトピック

ミートアップで発信される内容は、今回のようなイベントのレポから、「デザインシンキング」のようなトレンドトピックのセミナーに至るまで多岐に渡る。このように多彩な分野をカバーすることで、幅広い分野の人にリーチできるのである。

 

ポジティブなイメージの発信

六本木ヒルズにある自社に連日ミートアップで参加者を招くことは、メルカリに対するオープンでフレンドリーな印象につながる。また、ミートアップで使われた資料はウェブサイトに公開され、参加者は内容を振り返ることもできる。参加費は基本的に無料であり、素敵な食事や飲み物も準備されている。(但し、食べ物目的と判断された場合、参加を断られる場合もある。当たり前だろう。)インプットの後には懇親会があり、料理をつまみつつ、情報感度の高い人と交流ができる。これでメルカリにネガティブなイメージを抱くわけがない。

ResourcefulでWelcomingな社風のアピールにおいて、完全に戦略勝ちしていると言っていいだろう。

 

三方良しなTwitter活用

ミートアップでは、毎回Twitterのハッシュタグが決まっており、参加者はそこで随時、疑問に思ったことや学んだこと、感想などを発信する。

 

これは、イベント参加者にとっては「自分の考えや感想を発信・シェア」できる手段であり、振り返る時もそのハッシュタグを辿るだけで自分のツイートはもちろん他の参加者の感想や疑問、学びも同時に得ることができる。

 

また、メルカリにとっては、このハッシュタグをたどることで、参加者のフィードバックを得られる。わざわざイベント後に別のフォームを送信し、それを回収して、まとめる、といった手間が省けるのだ。

 

そして、Twitterのタイムラインに流れてくるツイートを見て、イベントを知らなかった人もミートアップについて知ることになり、情報感度の高い人は自分で調べて将来的にミートアップに参加してくれるかもしれない。主催する側だけでなく、参加者もミートアップの告知に一役かうのである。

挙げればキリがないが、このように、メルカリのミートアップには、参加者がメルカリのファンになるような仕組みが凝縮されているのだ。

 

そして、このミートアップでは、メルカリの役員層やエンジニアのトップ層が参加することも多い。ここで注目すべきは、彼らは登壇して終わりではなく、懇親会などにも参加し、積極的に他社の情報感度の高い参加者と交流をしている点である。これこそが、「イケてる人材」がメルカリに集まってくる秘訣なのかもしれない。


おわりに

敵を作らずにファンを増やすのは、決して容易いことではない。しかしメルカリはこの点において圧倒的な成功を収めている。サービスを利用するユーザーのみならず、多種多様な分野の人材からポジティブなイメージを持ってもらうことが会社にマイナスに作用することはまずないだろう。

 

今後は、事業の拡大だけでなく「ファン」を増やすことが、企業にとって、メルカリのような「イケてる会社」として認知される上でますます重要な要素になっていくだろう。