2017年11月の国内での資金調達総数は20件、総額約110億円で、下半期最大の数値だった。
このグラフは調達額の推移である。
8月から増加しており、ついに20件の台に乗っており、総額に関しても10月より大幅に増加した。
今回はその内訳を分析していきたい。
ではまず11月に資金調達を行った企業には、どういったカテゴリーの企業が多いのだろうか。グラフで表してみたので、ご覧いただきたい。
Fin Techを含む金融分野が4社と最多であった他、飲食業やInstagramを使用したメディア運営など、非テック企業も目立った。
これは日本ならではではないだろうか。
また、全20社のうち、1社が大阪に本社を持つが、他の19社は全て東京に籍を置いている、というのも企業や人が一箇所に集中する日本の特徴ではないか。
以下が全20社の一覧だ。
その中でも最多額となったのは「ショッピングに国境はない」という理念のもと中国越境ECを運営しているInagoraだ。(1段目左)$68,000,000を資金調達した。
日本の商品に特化したECサイト及びアプリケーションを提供しており、ロフトや東京ハンズといった雑貨からドトールや伊藤園などの食品、美容、健康など、全分野合わせると210店舗、商品数4万種にも及ぶ大型マーケットである。
中国ECサイトが伸びている状況に伴い伸びてきたスタートアップ企業である。
また、この企業の調達額の多さが、今月の国内総額を伸ばしている要因だ。
そして次点が名刺をクラウド管理するサービスを企業向けに提供しているSansanだ。(二段目左)$17,600,000である。
名刺をスキャンするだけで、AI及び人力で名刺を識別、データベース化するというシステムで、社内の全ての社員の名刺を一律で管理し、共有することができる。
3番目に額が多かった企業は、¥500,000,000で、排泄を予知するウェアラブルプロダクトを開発しているTriple W Japan K.K.。(四段目右)
少子高齢化が加速し、要介護者が増加するという世情に後押しされたという形だ。
資金調達額は上位にはいないが、筆者が注目した企業はLuteだ。(三段目右)
若者では使用していない人はいないのではないだろうかというSNS、Instagram。
同SNSには通常のタイムラインとは別にInstagram Storiesという24時間で消える投稿機能がある。
同社はその機能に目をつけ、音楽を中心に国内外の新たなカルチャーシーンを配信するメディアを運営している。
資金調達額は¥80,000,000と前述の企業に比べたら少額であるが、頻繁に使用するInstagramを利用した動画は親しみがあり、若者に特化するのであれば歌手にとってはYoutube以上に宣伝効果が高いものだと私は思う。
全体を通し、11月に資金調達シーンは日本の世情や名刺などの文化が反映された形となったが、一方で紹介したLuteや、体内時計をIotデバイスを通じ視覚化しようとしているO:など、新たな道を切り開こうとするスタートアップ企業も多く見られた結果となった。
hackjpn analysis data from crunchbase, cbinsight, and pitchbook.