「缶詰の食べ物をより多く学校に持ってきてください」

「缶詰の食べ物をより多く学校に持ってきてください」

”Before we start reading this book, let me go through about the canned-food drive that is coming up next week.” (この本を読み始める前に、来週から始まるカンフードドライブウィークについて説明させてください。)

2014年11月の半ば、私がアメリカでの学校生活に完全に慣れはじめたころ、lit(日本でいう国語の授業)の先生がクラスに向かってこういった。

 

クラスのみんなは

”oh again??”(え、また??)

“omg yes!! are the champions getting pizza this year too?” (よっしゃ!え、勝った人らはまたピザもらえるん?)

などなどとそのイベントに対してランダムにコメントしていたが、この学校に2014年の夏きたばかりの私としては何の話をしているのかまったくわからなかった。

 

”canned food drive”

このイベントを一言で説明するとこうだろう。

 

『缶詰の食べ物をより多く学校に持ってきて下さい』

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アメリカは貧富の差が激しい。

お金持ちはとことんリッチで、貧しい者は想像もつかないほど乏しい。

 

この貧しき人々を救うため、地域、もしくは学校単位でなにかできないだろうか、と考えたところ生まれたのがcanned food driveである。

 

このcanned food drive、募金やドネーションというとそんなに物が集まらないように聞こえるかもしれないが、

このイベントを学校で大会形式にする事で、生徒は楽しみながら本気になり、ドネートされる数もぐんと伸びる、まさに一石二鳥なミラクルが起こるのだ。

まずはじめに、大会形式なのでチームは必須。

 

生徒それぞれの時間割の中で、三時間目のクラスが彼らのチームになる。

 

私の三時間目がlitのクラスなら、その時間同じlitのクラスにいる子たちはチームメイトとなり、あなたの三時間目が数学のクラスなら、その時間同じ数学のクラスにいる子たちがチームメイトである。

 

次は何をドネートするか。

その質問についてはこの図で一目瞭然。

このイベントが始まる2週間前からこのようなポスターが学校中でみつかる。

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缶詰の食べ物、シリアル、シロップやケチャップ、洗剤、子供のおもちゃ、お金まで、曜日ごとに決められたものを学校にできるだけもってこい、ということだ。

 

今年のcanned food drive習慣の月曜日は缶詰のスープ、フルーツ、もしくは野菜をリクエストされているので、それらを持っていけ、といった具合である。

 

指定された日に指定された物を持っていくと、持っていった量に比例して自分のチームにポイントがつく。

一週間経った後に各クラスごとのポイントを換算して、一番ポイントが高かったチーム、つまり一番ドネートしたクラスには優勝のトロフィーとピザパーティーを開く権利が授与される。

 

生徒は楽しみながら食べ物やお金をポイントのために学校に持っていき、学校側はそれを回収して貧しい人たちに渡す。

 

この大会で優勝するためにはどうしたらいいか?!

=たくさんポイントを稼げばいい!
=そのためにはドネートしまくればよい!!

 

という方程式が出来上がっているため、普通に校門や駅前にたって『募金お願いします』と活動するよりも、よっぽど効果的に、しかも一週間という非常に短い期間で莫大な量のお金や食べ物、最低限度の生活用品が集まるわけである。

カリフォルニアに住んでいて、

『お、これ日本にはないな』

と思わされることはけして稀なことではない。

もちろん日本にだってカリフォルニアにだってお互いに素晴らしい部分はたくさんあるのだが、

アメリカ人ならではの割と突発的で、長々とやるのは面倒だからパパッと集めるもんだけ集めちゃいましょう、的な発想が時にはものすごく優れている事もあるのだな、と強く感じた。