ドローンはいかにして「社会を再構築」するのか〜Drone Fund 2号が示す将来への可能性〜

ドローンはいかにして「社会を再構築」するのか〜Drone Fund 2号が示す将来への可能性〜

 

Drone Fund 

日本を代表するエンジェル投資家である千葉功太郎氏が、自身がGeneral Partner/ Chief Dronistを務めるDrone Fund 2号 (正式名称 千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)の設立を発表した。

千葉氏が率いる2つ目のDrone Fundとなったわけだが、1号ファンドの概要は以下である。

⑴2017年6月に国内初のドローンスタートアップ特化型ファンドとして始動。

⑵ソフトウェア・ハードウェア問わず、技術力やポテンシャルのある企業に投資し、投資を受けた企業は活躍を収めている。

Drone Fund 1号は、国内初のドローン・スタートアップ特化型ファンドとして21の企業に総額16億円の投資を実行した。「ドローン前提社会の実現」という明確なビジョンのもとに設立された同ファンドは、国内初として注目を集めただけでなく、投資先の発展・活躍もめざましい。例えば、ドローンを用いた計量・計測サービスを提供する株式会社CLUEは、ドローン関連企業として日本で初めて、ガーナ政府とドローンを用いた道路点検事業で協力協定を結んでいる。

2号ファンドのここがすごい

今回設立が発表されたDrone Fund 2号については、1号への期待値をさらに上回る内容とともに発表された。

⑴ファンド規模は、世界最大級となる最低30億円、最高50億円へ拡大。

⑵1号ファンドでの投資家陣に加え、新規投資家として、みずほ銀行、KDDI、セガサミーといった日本を代表する大手企業や、本田圭佑氏、マブチモーター創業者一家など名だたる個人投資家が参加を表明。

⑶「ドローン前提社会の実現」、そして「エアモビリティ社会の形成」へ

Drone Fund 2号は、新たに新規投資家としてみずほ銀行、KDDI、セガサミーといった大企業と、スポーツ界の第一線で活躍するサッカー日本代表本田圭佑氏、マブチモーター創業者一家など、錚々たるメンバーが参画を表明してる。ファンド規模は1号ファンドの2倍以上にのぼると考えられており、千葉氏がドローン旋風を牽引していることがわかる。

また2号ファンドでは、1号ファンドが掲げていた「ドローン前提社会」の実現というテーマに加え、「エアモビリティ社会」の形成という新たなテーマが加わっている。記者説明会でも、ALI社のホバーバイクのモックが展示されていたりと、エアモビリティ社会形成に向けた心意気がうかがえた。

 

ドローンは「空の産業革命」を起こす

Drone Fund アドバイザリーボードのメンバーで、日本マイクロソフト社業務執行役員でもある西脇資哲氏は、次のように語る。

ドローンの開発や日常生活での利用が進むということは、ただ単に我々の生活に新しいデバイスが増えるというだけではない。

車輪を例にとって考えてみよう。車輪が発明されたのはおよそ紀元前5,000年と言われており、気の遠くなるような時間が経った現在も我々の交通手段を支えている。

そして、車輪の発明は、自動車の発明、そして自動車産業の誕生にも結びついている。さらには、自動車の発明により道路の整備が進み、鉄道網も発達した。このように、車輪という一つの発明が世の中の発展を大きく変え、社会の形成に多大な影響を与えているのである。

同様に、ドローンも社会の形成を大きく変える可能性が大いにある。ドローンは、移動するにあたり道路を必要としない。つまり、膨大な国家予算を投じて道路を作る必要がないのである。既存の交通システムにまつわる設備整備はいらなくなり、渋滞もなくなるかもしれない。カーナビやETCといった自動車社会を前提としている仕組みも含め、ドローン前提社会においては全てが一新されるのだ、と。

 

また、日本はドローン産業を率いていく上で、世界をリードできる可能性がある理由として以下の2点を挙げる。

まず1点目に、日本は世界でも類を見ない非常に特殊で優れた車検制度を持っていること。したがって、日本はこれまでの蓄積を「空」に応用することで、リードできる可能性が十分ある。2点目に、ドローンを構成する様々な要素に着目すると、部品のほとんどは、日本製のブランドシェアが世界で一位を誇っている。このように、技術的な側面を見ても、日本が同業界をリードできる可能性は非常に高い。

そう西脇氏は述べている。

「ドローン前提社会」の実現のために

ドローン前提社会の実現のための取り組みは何もファンドを通した支援だけにとどまらない。「千葉道場ドローン部」と銘打った合宿の実施や、特許共同出願の専門会社である株式会社DRONE iPLABによるサポート、研究者ネットワークと町工場ネットワークを投資先の会社とつなぐため、株式会社リバネスとの連携など、高い技術や可能性をサポートするための知財・製造面でのバックアップも行なっている。

おわりに

ファンド規模も拡大し、様々な方面からのサポート体制も備えているDrone Fund 2号。ドローン企業全方位型のファンドであるという点も相まって、ドローン前提社会の実現はもちろん、日本をドローン先進国に導くにあたり同ファンドが担う役割には、我々が期待するよりもはるかに大きなものとなりそうだ。

1 Comment

Comments are closed