ハラスメントの被害者がひとりで問題を抱え込んでしまったとき、何も解決しないまま犯人が罰を逃れることになるってことは嫌というほど分かってる。でも、これはビジネスだった。誰にも言わず黙っておくことは、自分のビジネスのために必要な犠牲のひとつのように思えたの。
ジーンズやパーカーから高級なスーツまで何でも着られる男性に対して、私は自分の服を慎重に選ぶ必要があったわ。フェミニンだけどセクシーではなくて、形がはっきりしてるけどタイトではなくて、小洒落てるけど高価過ぎることはなくて。髪はいつもお団子か、古風に後ろにまとめてた。私の経験が特別ユニークって訳では無いのよ?他の女性起業家だって同じように苦労してたし。男性だけが問題ってことでも無いんだけどね。
ネットワークのために安全な場所を探すことも一苦労。私が知ってる男性CEOは町中でカジュアルにネットワークを築いてるみたいだけど・・特にバーとかね。「誰かと酔ったらもう君はその人の仲間だよ。何かお願いしたり、後で紹介を得ることが簡単になるんだ。」って言う人も居たわ。
でも、職場以外の場所でCEOとしてのアイデンティティを保つことが難しいのよね。バーか、ボートの上か、会議に居るかで女性はもう別人になっちゃうと思うし、ただのきれいなものとして存在してしまうこともあり得るわよね。「もっとゆったりした環境で、私が彼らのことをより良く知ることが出来るように」ヨットに乗ろうって誘って来た投資家といくつかのVCを思い出すわ。この投資家、私の同僚に彼のボート旅行が最高だったって言ってた。ひとりの男性に、たくさんのブロンドの女性がついてたからだって。
じゃあ何が出来るのかってことよね?より女性投資家に特化した資金調達はその答えにはならないわ。もし私が女性投資家だけに近づくことを選べば、私たちの資金調達の選択肢を大幅に減らすことになるんだもの。
ばかなハラスメントの加害者だけの話じゃないのよ。多くの素晴らしい男性たち、例えば私たちの会社に投資してくれたり、私をボスって呼んでくれる人たちも、結局私が日常直面する数百のハラスメントに気付かないんだから。
私の見た目ばかり気にする人たちに言いたいのは、会社の経営に外見は関係ないってこと。自分の頭の中にあるものを使ってるんだもの。早くこの真実を内面化すればするほど、もっと裕福になれると思うの。
私の性別が、人々が私のビジネスを見る目に影響しない日が来るときを楽しみにしてる。とにかくそれまでは、シェリル・サンドバーグが言うように女性がビジネスの世界で活躍しようと思うなら、それなりの覚悟と勇気を持って望まないといけないわね。
まだまだ男性社会のビジネスの世界では、女性がこのように違和感や不快感を覚えてしまうこともあるようだ。 夢を追いかける女性が他の男性と平等に活躍していけるように、改善すべき点は多いだろう。